研究実績の概要 |
分裂酵母をモデルとして、クロマチンポテンシャルに影響を与えるものとして、(1)核膜との相互作用、(2)非コードRNAとの相互作用、(3)ヒストン修飾について解析を行った。 (1)核膜との相互作用:これまでの研究により、Lem2とBqt4の二重欠損株は致死となるが、この株では核タンパク質が核外に漏出し、この漏出が致死の原因であることを明らかにし、Lem2とBqt4が核膜のバリア機能の維持に重要であることを明らかにしている。さらに、Lem2との二重欠損により致死性となる因子として、分裂酵母の小胞体に局在するLnp1タンパク質を発見した。分子遺伝学的な解析と蛍光イメージングを使って、Lem2とLnp1の両者が共働して核膜と小胞体との境界を形成していることを発見した(Hirano et al, Commun Biol 2020)。また、核膜の一過的な破裂が、プロテアソームを構成するRpn11タンパク質を介して、減数分裂後の胞子形成に重要な働きをすることを発見した(Yang et al, J. Fungi 2020)。 (2)非コードRNAとの相互作用:非コードRNAとRNA結合タンパク質との相互作用が起こす相分離が、相同染色体対合に重要な働きをすることを明らかにした(Hiraoka Curr Genet 2020)。また、相同染色体対合に重要な働きをするタンパク質の精製法を確立した(Yuzurihara et al, Protein J 2010)。 (3)ヒストン修飾:分裂酵母のヒストンH2A.Z遺伝子を欠損しても、正常な減数分裂に必要な染色体クロスオーバーができることを報告し、その分子機構を明らかにした (Yamada et al, Gene 2020)。
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