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2021 年度 実績報告書

種を越えた配偶子産生システムの in vitro 再構築

計画研究

研究領域配偶子インテグリティの構築
研究課題/領域番号 18H05548
研究機関東京大学

研究代表者

小林 俊寛  東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (20587414)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2023-03-31
キーワード始原生殖細胞 / 多能性幹細胞
研究実績の概要

研究 1 ラット多能性幹細胞からの in vitro PGC 誘導
ラット多能性幹細胞を起点とした in vitro PGC 誘導法の開発に成功した。スフェロイド形成を介したエピブラスト様細胞の誘導が可能になり、その段階を経て BMP4 を含むサイトカインで刺激したところ、PGC 特異的なレポーターである Nanos3-tdTomato を指標としたとき約 20-30% の効率で PGC 様細胞の誘導が可能になった。それらは生殖腺体細胞との共培養により in vitro で性分化前の時期に相当する PGC に成熟できた。またそれら PGC 様細胞を生殖細胞欠損ラット (Kobayashi et al., Development (2020), Kobayashi et al., Nat Commun (2021)) の新生児精巣に移植することで、精子に分化することも確認できた。PGC 様細胞由来の精子はラット未受精卵への授精により産仔の作出へ貢献することができた 。

研究2 ウサギ多能性幹細胞からの in vitro PGC 誘導
前年度までに進めてきたウサギ初期胚における PGC の出現過程の解析を元に、ウサギ多能性幹細胞を起点とした in vitro PGC 誘導法の開発に成功した。ウサギ多能性幹細胞から胚様体を作製し BMP4 で刺激することで、ラット同様に NANOS3-tdTomato を指標としたとき約 20-40% の効率で PGC 様細胞の誘導が可能になった。ウサギ胚由来の PGC と single cell RNA-seq によってその遺伝子発現プロファイルを比較したところ、両者は極めて近い特徴を示した (Kobayashi et al., Cell Reports (2021))。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題で主に取り扱うラット、ウサギにおいて、in vitro PGC 誘導法の開発に成功した。特にラットでは、マウス以外の動物において世界で初めて個体発生に貢献できる機能的な PGC 様細胞が誘導できることを証明でき、本成果は多くのメディアにも取り上げられた。またウサギでは初期胚における PGC の出現過程を実際の胚および今回開発した in vitro PGC 誘導法を用いることで詳細に解析することができ、似た初期胚の発生形式を取る大型動物やヒトの良いモデルとなることを示すことができた。以上より、計画した通り概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

前年度までに得られたラット、ウサギの多能性細胞および PGC (in vivo, in vitro) のトランスクリプトームの情報に既報の動物種 (マウス、ブタ、サル、ヒト) の情報を加え、種横断的な比較を行う。そこから種間における生殖細胞形成の共通性と種特異性を明らかにする。特に全体の比較に限らず、マウスとラットの比較では齧歯類に共通する機構、ウサギ、ブタ、サル、ヒト間の比較では初期発生において円盤型の多能性エピブラストを形成する動物種として共通する機構、など動物種の特徴を鑑みた比較解析を行う。重要と思われる転写因子などに関しては、確立してきたラット、ウサギの in vitro PGC 誘導系、および作製した in vitro PGC からの配偶子形成・個体発生能評価を通じて、どのような機能を持つか適切に評価を行う。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 5件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] ケンブリッジ大学/エクセター大学/ノッティンガム大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      ケンブリッジ大学/エクセター大学/ノッティンガム大学
  • [国際共同研究] スタンフォード大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      スタンフォード大学
  • [雑誌論文] Generation of Tfap2c‐T2A‐tdTomato knock‐in reporter rats via adeno‐associated virus‐mediated efficient gene targeting2022

    • 著者名/発表者名
      Oikawa Mami、Nagae Mayuko、Mizuno Naoaki、Iwatsuki Kenyu、Yoshida Fumika、Inoue Naoko、Uenoyama Yoshihisa、Tsukamura Hiroko、Nakauchi Hiromitsu、Hirabayashi Masumi、Kobayashi Toshihiro
    • 雑誌名

      Molecular Reproduction and Development

      巻: 89 ページ: 129~132

    • DOI

      10.1002/mrd.23562

  • [雑誌論文] Tracing the emergence of primordial germ cells from bilaminar disc rabbit embryos and pluripotent stem cells2021

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Toshihiro、Castillo-Venzor Aracely、Penfold Chris A.、Morgan Michael、Mizuno Naoaki、Tang Walfred W.C.、Osada Yasuyuki、Hirao Masao、Yoshida Fumika、Sato Hideyuki、Nakauchi Hiromitsu、Hirabayashi Masumi、Surani M. Azim
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 37 ページ: 109812~109812

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2021.109812

  • [雑誌論文] Conserved features of non-primate bilaminar disc embryos and the germline2021

    • 著者名/発表者名
      Alberio Ramiro、Kobayashi Toshihiro、Surani M. Azim
    • 雑誌名

      Stem Cell Reports

      巻: 16 ページ: 1078~1092

    • DOI

      10.1016/j.stemcr.2021.03.011

  • [雑誌論文] Pluripotent stem cells related to embryonic disc exhibit common self-renewal requirements in diverse livestock species2021

    • 著者名/発表者名
      Kinoshita Masaki、Kobayashi Toshihiro、Planells Benjamin、Klisch Doris、Spindlow Daniel、Masaki Hideki、Bornelv Susanne、Stirparo Giuliano Giuseppe、Matsunari Hitomi、Uchikura Ayuko、Lamas-Toranzo Ismael、Nichols Jennifer、Nakauchi Hiromitsu、Nagashima Hiroshi、Alberio Ramiro、Smith Austin
    • 雑誌名

      Development

      巻: 148 ページ: dev199901

    • DOI

      10.1242/dev.199901

  • [学会発表] In vivo および in vitro におけるラット多能性幹細胞からの生殖細胞誘導2022

    • 著者名/発表者名
      小林 俊寛
    • 学会等名
      日本再生医療学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] In vitro Reconstitution of Germline Development in Rats2022

    • 著者名/発表者名
      Toshihiro Kobayashi
    • 学会等名
      IMSUT International Joint Usage/Research Center-Young Researchers Symposium
    • 招待講演
  • [学会発表] ラット多能性幹細胞からの機能的な生殖細胞作製2022

    • 著者名/発表者名
      小林 俊寛
    • 学会等名
      第15回 ラットリソース・リサーチ研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 乗り越えろ!異種の壁 ~初期胚・生殖細胞発生からみた哺乳類間の類似点と相違点~2022

    • 著者名/発表者名
      小林 俊寛
    • 学会等名
      The 81st Scienc-ome
    • 招待講演
  • [学会発表] ラット多能性幹細胞からの機能的な始原生殖細胞の分化誘導2021

    • 著者名/発表者名
      及川 真実, 小林 久人, 三宝 誠, 水野 直彬, 岩月 研祐, 山内 恵子, 吉田 史香, 山本 拓也, 篠原 隆司, 中内 啓光, 栗本 一基, 平林 真澄, 小林 俊寛
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] ラット Naive 型多能性幹細胞におけるゲノムインプリンティング消去回避の試み2021

    • 著者名/発表者名
      岩月 研祐, 及川 真実, 小林 久人, 栗本 一基, 平林 真澄, 小林 俊寛
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] Blastocyst complementation using Prdm14-deficient rats for robust germline transmission2021

    • 著者名/発表者名
      Toshihiro Kobayashi, Teppei Goto, Mami Oikawa, Makoto Sanbo, Yasuhiro Kazuki, Hiromitsu Nakauchi, Azim M Surani, Masumi Hirabayashi
    • 学会等名
      第18回幹細胞シンポジウム
  • [学会発表] 胚盤胞補完法とその遺伝子改変動物作製への応用2021

    • 著者名/発表者名
      小林 俊寛
    • 学会等名
      第94回日本生化学会
    • 招待講演
  • [備考] 生理学研究所 遺伝子改変動物作製室 HP

    • URL

      http://www.nips.ac.jp/mamtg/

  • [備考] 東京大学医科学研究所 幹細胞治療研究センター 再生発生学分野 HP

    • URL

      https://stemcell-imsut.org/laboratory/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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