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2019 年度 実績報告書

染色体イメージングによる卵子インテグリティの予見

計画研究

研究領域配偶子インテグリティの構築
研究課題/領域番号 18H05549
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

北島 智也  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (00376641)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2023-03-31
キーワード卵子 / 紡錘体 / ライブイメージング / 動原体
研究実績の概要

本計画研究は卵子のインテグリティの予見を目指し、染色体イメージングを中心的に用いた細胞生物学的研究を行った。特に、卵子のインテグリティにとって最も重要な要素の一つが染色体数の正常性であることから、卵子の染色体分配エラーの原因となる要素を特定し、それに関わる分子を同定することを目的とした。
in vitro gametogenesisで作られた卵子(invitro卵子)のライブイメージングのため、培地添加型の蛍光プローブによるラベリング技術を確立した。蛍光プローブとしてsiR-DNAとsiR700-Tubulinを採用し、最適な条件を検討したことで減数第一分裂を通して染色体動態に異常が検出されない染色体・紡錘体イメージングを確立した。また、新たに開発された手法により作成されたin vitro卵子の提供を受け、これらのライブイメージングを行った。この結果、in vitro卵子のプライマリーな欠損を見出した。
並行して、自然老化マウスの卵子から染色体分配装置である紡錘体を顕微操作によりちぎり取り、LC-MS/MS解析による半定量的解析に供することで、コントロール卵と比較して量が異常なタンパク質の同定を試みた。若い卵子との半定量的な比較から老化で有意に減少するタンパク質群を見出し、これらの中から染色体分配インテグリティに関わる有力な候補を得た。
また、卵子の紡錘体安定性に関わる分子の同定を進め、動原体Ndc80複合体がアンチパラレル微小管架橋因子Prc1を動原体に濃縮させることで紡錘体形成を促進することを見出した(Yoshida et al, Nat Commun, doi:10.1038/s41467-020-16488-y)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

in vitro卵子のイメージングから染色体分配エラーのプライマリーな原因を見出すことができた。また、老化卵子における紡錘体のタンパク質量変化の一端を捉え、染色体分配インテグリティを担う候補因子を絞ることができた。さらに、紡錘体形成の機構の解析から動原体Prc1が紡錘体形成に重要な役割を果たすことを見出し報告した。

今後の研究の推進方策

in vitro卵子のライブイメージングを継続するとともに、これまでの結果から見出された欠損について、分子的な理解を進めるための実験を行っていく。動原体におけるPrc1が紡錘体形成に必要であることから、Prc1の制御および紡錘体形成への作用機序の解析を進める。また、紡錘体ちぎり取り解析から得られた老化依存的に減少するタンパク質について検証実験を行うとともに、機能解析を行う。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Prc1-rich kinetochores are required for error-free acentrosomal spindle bipolarization during meiosis I in mouse oocytes.2020

    • 著者名/発表者名
      Shuhei Yoshida, Sui Nishiyama, Lisa Lister, Shu Hashimoto, Tappei Mishina, Aurélien Courtois, Hirohisa Kyogoku, Takaya Abe, Aki Shiraishi, Meenakshi Choudhary, Yoshiharu Nakaoka, Mary Herbert and Tomoya S. Kitajima
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41467-020-16488-y

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Post-metaphase correction of aberrant kinetochore-microtubule attachments in mammalian eggs.2019

    • 著者名/発表者名
      Anna Kouznetsova, Tomoya S. Kitajima, Hjalmar Brismar and Christer Hoog
    • 雑誌名

      EMBO reports

      巻: 20 ページ: -

    • DOI

      10.15252/embr.201947905

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Causes of aneuploidy in eggs2019

    • 著者名/発表者名
      Tomoya S. Kitajima
    • 学会等名
      The 15th Transgenic Technology Meeting (TT2019)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 卵子の染色体数異常の原因2019

    • 著者名/発表者名
      北島智也
    • 学会等名
      東大理学部生物化学科設立60周年シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 卵母細胞に特有な染色体分配の機構2019

    • 著者名/発表者名
      北島智也
    • 学会等名
      2019 遺伝研・熊大発生研共催シンポジウム「有性生殖における染色体・クロマチン・核動態」
    • 招待講演
  • [学会発表] 卵子の染色体数異常の細胞生物学的な原因2019

    • 著者名/発表者名
      北島智也
    • 学会等名
      第26回 臨床細胞遺伝学セミナー
    • 招待講演
  • [備考] 理化学研究所 染色体分配研究チーム HP

    • URL

      http://chromosegr.riken.jp/index.html

  • [備考] 理化学研究所生命機能科学研究センターHP 染色体分配研究チーム紹介ページ

    • URL

      https://www.bdr.riken.jp/jp/research/labs/kitajima-t/index.html

  • [備考] 理化学研究所HP 染色体分配研究チーム紹介ページ

    • URL

      https://www.riken.jp/research/labs/bdr/chromo_segr/index.html

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公開日: 2021-01-27  

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