卵子のインテグリティの予見を目指し、染色体イメージングを中心的な技術として卵子の細胞生物学的な解析を行った。特に、卵子のインテグリティを規定するうえで重要な要素の一つである染色体数の制御に着目し、染色体数を決めるプロセスである卵母細胞の染色体分配とそのエラーに焦点を当てた研究を行った。 昨年度までに、老化卵子において顕著に量が減少する染色体因子を同定し、このタンパク質を遺伝学的に操作できる遺伝子改変マウスを確立させていた。このマウスを用いて卵母細胞の染色体分配をライブイメージングを行い、定量的な解析を行うための大量データ取得を継続的に行った。また、老化とともに減少することが知られる染色体因子コヒーシンとの関連を調べるために、遺伝子改変マウスにおけるコヒーシン量を調べた。さらに、コヒーシン遺伝子改変マウスとの掛け合わせを進行中である。 また、昨年度までに、染色体分配装置である紡錘体の形成にNdc80-Nuf2とPrc1のタンパク質修飾を介した相互作用が重要であることを示唆するデータを得ていた。この相互作用をin vitroで検証するとともに、相互作用に必要なタンパク質修飾部位の候補を同定した。現在、これらの機能的重要性について検討中である。 さらに、昨年度までに、染色体に固有な動態を解析可能なプローブを開発していた。このプローブを用いたライブイメージングデータの大量取得を行い、染色体に固有な動態について定量的な解析を行った。老化卵子における染色体動態をこのプローブで可視化する実験を進行中である。
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