2022年度は以下の研究を遂行し生殖細胞の発生様式の異なる哺乳類と鳥類における配偶子インテグリティ成立プロセスの解析を進めた。まず、本研究で確立したマウス生殖細胞特異的に多数の異なる配列(バーコード)を導入する実験系を用いて実験的に取得したバーコードシーケンスデータを、海外共同研究者の数理解析に供した。それにより、発生期から成体の精子幹細胞、精子形成、次世代に至る、マウス雄性生殖細胞のレパートリー動態の全体像が見えてきた。このデータを用いた数理解析から予測された特殊な細胞集団の実体を免疫組織染色を用いて解析し、予測と合致する結果を得た(以上は研究代表者吉田が行った)。鳥類においては、2021年度に確立したニワトリ生殖細胞の培養条件と遺伝子導入条件を利用して遺伝子組換えを行った。ニワトリ生殖細胞の安定細胞株に、リポフェクション法あるいは電気穿孔法で遺伝子を導入した後、薬剤耐性を利用して組換え細胞を選抜した。これまでに、恒常的に緑色蛍光タンパク質あるいは赤色蛍光タンパク質を発現するニワトリ生殖細胞の安定細胞株を移植した宿主ニワトリを育成しており、後代検定によって組換えニワトリを選抜する予定である(以上は研究分担者中村が行った)。
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