計画研究
生殖系列中において、トランスポゾンの発現を抑制する分子として、piRNA(Piwi interacting RNA)が知られている。令和3年度までに、一部の生殖系列(始原生殖細胞)においてpiRNAの機能が低下していることを強く示唆する結果が得られていた。そこで、PIWIタンパク質に対する抗体を入手し、免疫組織染色を行なったところ、piRNAの機能が低下していると考えられる始原生殖細胞においてPIWIタンパク質量が少ないという結果が得られた。PIWIタンパク質は、始原生殖細胞に母性供給されると考えられており、生殖質の取り込み量が少ない始原生殖細胞においてPIWIタンパク質量が低下し、piRNA機能が低下するものと考えられる。scRNA-seq (single cell RNA sequencing)のデータからも生殖質の取り込み量が少ない始原生殖細胞の存在が明らかになっており、この細胞においてpiRNAの機能が低下しているのかについて今後解析を進める。一方、生殖質の取り込み量が少ない始原生殖細胞では、NanosとPgc (polar granule component)タンパク質が体細胞性の遺伝子発現を抑制することを昨年度までに見出したが、これらタンパク質の機能を失うと、生殖質の取り込み量が少ない始原生殖細胞では、体細胞性遺伝子の発現が上昇し、細胞突起を形成したのち、正常な発生過程を辿ることができなくなることを明らかにした。このことは、生殖質の取り込み量が少ない始原生殖細胞の発生を正常に進行させる機構が存在することを示唆している。今後、この機構とpiRNA機能との関連を解析する研究に発展すると考えられる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Gene Expression Patterns
巻: 48 ページ: 119321~119321
10.1016/j.gep.2023.119321
bioRxiv
巻: ー ページ: ー
10.1101/2023.07.04.546637
Transgenic Research
巻: 32 ページ: 411~421
10.1007/s11248-023-00363-9
Journal of Visualized Experiments
10.3791/65985
Development
巻: 149 ページ: 1-13
10.1242/dev.200319
http://skob.tara.tsukuba.ac.jp/Top/index.html