研究領域 | 配偶子インテグリティの構築 |
研究課題/領域番号 |
18H05553
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
栗本 一基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20415152)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 配偶子形成 / 生殖細胞 / シングルセル / 単一細胞 / トランスクリプトーム / 組織切片 / 形態 |
研究実績の概要 |
2021年度は凍結セルブロックを用いた条件検討を完了し、次世代シークエンサを用いた検証を行った。その結果、切片から採取した細胞と、新鮮なまま採取した細胞でほとんどそん色のないデータを得ることができることが分かった。さらに、エキソン-エキソンジャンクションについても新鮮なまま採取した細胞と同等のデータを得ることができ、切片から採取したことによってトランスクリプトーム解析の質をほとんど妥協する必要がないことが示唆された。この手法を特許出願した(特願2021-200053)。この結果は、我々が独自に開発した3'側へのバイアスのあるcDNA増幅法を用いて得られたものである。より広い応用を可能にするため、広く用いられ、mRNAの全長の解析も可能なcDNA増幅手法(Smart-seq2)や、市販のキット(タカラSmart-seq v4 kit)に適用可能なプロトコルを作成しつつある。この手法をマウス卵巣に適用し、卵母細胞や卵胞の顆粒層細胞の形態などの組織学的情報にリンクした定量的なトランスクリプトーム解析を行い、卵母細胞の形態からトランスクリプトームを高い精度で予測とアウトライヤーの検出、顆粒層細胞の組織学的な位置情報と遺伝子発現の差異など、生物学的に興味深い仮説を提示しうるデータを得た。また、スプライシング制御の卵胞成熟過程における重要性が指摘されているが、組織学的情報との関係を調べるために、エキソンジャンクションの解析を行い、既存のスプライスアイソフォームを定量的に検出可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度のRNase inhibitorの販売中止による問題は解決し、その後、予定通りに研究は進捗しているため。一方で、論文の査読で多くの批判がつきその対応を進行中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
前半期は現在投稿中の論文の査読対応を行う。また、マウス生殖巣において見出した現象の検証や、原始卵胞形成過程への適応など、生物学的な課題を解くための解析を行う。
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