研究領域 | 実験社会科学 |
研究課題/領域番号 |
19046001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
肥前 洋一 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 准教授 (10344459)
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研究分担者 |
船木 由喜彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50181433)
河野 勝 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70306489)
神作 憲司 国立障害者リハビリテーションセンター研究所, 感覚機能系障害研究部, 室長 (60399318)
加藤 淳子 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00251314)
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キーワード | 実験 / 投票 / 通時的世論形成 / fMRI / 国際研究者交流 / カナダ |
研究概要 |
本年度の成果は、3種類の実験研究(実験室実験、fMRI実験、調査実験) から成る。同時に、それらに理論的もしくは神経科学的基礎を与える研究も行われている。 実験室実験は、制度選択・投票参加・選挙制度のテーマで実施された。制度選択では、報酬制度と懲罰制度のいずれを採用するかを単純多数決で決める場合(民主制) と一人で決める場合(独裁制) について比較したところ、独裁制のほうが実験参加者たちの公共財生産への出資額が大きくなった。投票参加の研究では、選挙を2グループ間の対戦型公共財供給ゲームとしてデザインした。有権者数の少ないケースでは、先行研究Levine and Palfrey(2007) の実験結果と異なる投票率の推移が観察された。選挙制度の研究では、選挙区の議席数とそのもとで実現する票の分布の関係を検証する実験を、昨年度よりも投票者数を増やして実施した。「議席数をMとするとM+1人の候補者に票が集まる」というM+1法則のとおりにはならなかったが、「議席数が増えると、より多くの候補者の間で票が割れるようになる」という比較静学はデータにより支持された。これらの成果は、学会や研究会で報告された。 fMRI実験は、投票方向のパートで分析が進められた。選挙キャンペーンCMを用いた政治的認知実験の結果から、政治的選好の変化と前頭前野の内側部と背外側部それぞれにおける脳活動との間に正と負の逆方向の相関関係を見出した。この結果を学会で報告し、論文を学会誌に投稿した。 調査実験は、制度選択のパートで実施された。昨年度日本で実施した「世論の通時的形成に関する調査」(勝ち馬に乗る等の多数派に追随する雪だるま式意思決定を引き起こす要因やその影響を解明する) の結果の分析を行うとともに、ブリティッシュコロンビア大学政治学部助教授Fred Cutlerらと協力して同様の調査をカナダで実施した。
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