計画研究
本研究は、「社会関係資本(social capital)」、すなわち、「社会的ネットワーク、およびそこかも生じる互酬性、信頼性の規範」(Putnam(1993, 2000))が、実際にどのような状態で生成し、維持され、具体的に社会にどのような効果を与えるのかを分析し、社会関係資本が果たす役割を実験によって明らかにすることを目的とする。実験手法を用いて、適切な社会関係資本の尺度を構築し、さらに、公共財供給などの社会的ジレンマ問題において、社会関係資本が協調行動を促し全体として効率性を増加させうるのかについての検証を開始した。また、社会関係資本をテーマとしたワークショップを開催して、最先端の研究を把握するとともに、それらの意義、重要性、問題点を探り、検討した。まず、早稲田大学で開催したワークショクプでは、講師に安田雪氏(東京大学大学院経済学研究科、社会ネットワーク研究所)を招いて、社会ネットワーク論からみた社会関連資本について吟味した。さらに、東京工業大学で開催したワークショップでは、講師に石黒格氏(弘前大学人文学部)を招き、社会調査による一般的信頼の規定要因を検討した。山岸(1998)が提唱した一般的信頼概念と信頼の解き放ち理論は、社会科学において極めて強い影響力を持つが、その概念と理論の妥当性が十分に検証されたとは言えない。ここでは、社会調査データの分析を通して、回答者の社会環境と一般的信頼とノの相関を吟味し、そのなかで、社会環境を変数化するアイディアを検討した。
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