研究領域 | 実験社会科学 |
研究課題/領域番号 |
19046002
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
清水 和巳 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (20308133)
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研究分担者 |
大和 毅彦 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (90246778)
渡部 幹 早稲田大学, 高等研究所, 招聘研究員 (40241286)
芹澤 成弘 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90252717)
瀋 俊毅 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (10432460)
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キーワード | 社会関係資本 / メカニズム・デザイン / 公共財供給 / 環境 / 実験 / 協力 / ニューロサイエンス |
研究概要 |
社会班においてはどのような制度が「社会関係資本」(社会的ネットワーク、およびそこから生じる互酬性、信頼性の規範)として機能しえるのか、それがどのように社会的ジレンマを解決し、効率性を高めるのか、またどのようにそれを計測するのかが課題であり、以下のように実験・理論研究を遂行している。 (1)社会関係資本の重要要素である信頼と協調行動との関係を調べるために、2010年度には中国上海においてラボ実験を行った。それに引き続き、2011年度においては、異なる経済状況における信頼と協調行動がどのように変わってくるのかを調べるため、同様の実験を中国内陸の寧夏と成都、香港、日本の広島においても実施した。 (2)異なる出身や異なる交渉チームの構成が物々交換の交渉にどのような影響を及ぼすかを検証するために、社会班と組織班と共同で中国上海において交換経済の実験を実施した。 (3)対人状況における自責や後悔が、その後の補償行動を通じて信頼形成に与える影響について、実験研究を4つと数理モデル研究を1つ行った。これは、後悔や自責の念の表明が、その人物の信頼性についてのシグナルとして機能するかどうか調べたもので、質問紙を用いた認知的な研究と実験ゲームを使った行動的な研究、さらに日米差を比較する研究を行っている。 (4)近年、脳内ミクログリア細胞が社会的行動に影響を及ぼす可能性が指摘されている。ミクログリアが活性化すると社会的に不適応な行動が起こりやすいという臨床報告がなされており、その活性化を抑える「ミノサイクリン」という薬が不適応行動抑制に役立つという報告もされている。これらの知見に基づき、健常者にミノサイクリンを投与し、実験ゲーム研究にて対人信頼行動を測定する実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に予定していた計画を着実にこなし、その結果も英文論文、国際学会での発表を通じて世界に発信していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度も、これまで行ってきた(1)社会関係資本と協調行動に関する実験、(2)公共財供給における社会関係資本の形成に関する実験、(3)社会関係資本の集団拘束性に関する実験、(4)規範的感情と社会関係資本形成に関する実験、(5)社会関係資本とメカニズム・デザインに関する実験を発展的に行う。それと同時に、今年度が本領域研究の最終年度であることを踏まえ、対外的なアウトプットにも一層の努力を払う。
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