研究領域 | 実験社会科学 |
研究課題/領域番号 |
19046006
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
亀田 達也 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20214554)
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研究分担者 |
高橋 伸幸 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (80333582)
中丸 麻由子 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 准教授 (70324332)
神 信人 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (30296298)
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研究期間 (年度) |
2007-07-25 – 2013-03-31
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キーワード | 集団 / 規範 / 感情 / 一般互恵性 / 協力 / 進化ゲーム理論 / 実験 |
研究概要 |
最終年度である本年度は、これまでの成果を論文化すると共に、次のステップに向けて予備的研究を行った。具体的には、近年、生物学領域と情報科学で大きな注目を集めている社会性昆虫の「群知能」に関する知見を参考にしながら、人間の集合行動における「集合知」の発生可能性について、multi-armed bandit taskと呼ばれる不確実性下の意思決定問題を用いて実験的に検討した。また、資源探索や集団移動場面など、選択肢の良し悪しについて分散(ばらつき)や不確実性が存在する状況における「ヒトの集団意思決定」と、「社会性昆虫の"集団意思決定"」におけるアルゴリズムの共通点と差異を、関連文献をレビューすることで検討した。この比較の結果、ヒトと社会性昆虫は系統樹の上ではきわめて遠い位置関係にあるものの、集団での決定を生み出すアルゴリズムに重要な共通点(社会的な行動頻度への正の同調反応、類似の集団集約規則の存在など)が見られることが明らかになった。本計画のもう1つの柱である一般互恵性の成立メカニズムに関する検討では、集団のメンバーシップ認定基準と集団協力との関係について理論的な検討を行った。具体的には、(1)評判に着目してグループがメンバーを取捨選択する、(2)個人がグループを取捨選択する、(3)両方のメカニズムが組み込まれている場合のそれぞれについて、メンバーシップを与える際の合意水準に関する閾値を変化させる進化シミュレーションを行い、メンバー全員が加入を認める場合に協力率が高くなることを見いだした。また、前年度に引き続いて、社会的ジレンマ場面におけるサンクション行使とリーダーシップの関わりについて実験的に検討し、社会的ジレンマにおいて協力を志向する者は、集団リーダーとしてサンクション行使者を選びやすいという知見を得た。
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