人類がまだ見たことのない太古の宇宙―宇宙が誕生して2-10億年頃までの謎の時代―をガンマ線バーストの可視・近赤外線残光を用いることによって、宇宙における天体形成の歴史等の問題に迫ることを目指す。この目標のために、大きく分けて、二つの具体的な方法でアプローチする。 (1) 既存の中小口径望遠鏡群に必要な諸機能をつけ、可視と近赤外線で可及的速やかに残光の検出を目指す。その主な対象は、国立天文台岡山天体物理観測所の91cm望遠鏡のドーム・望遠鏡駆動の高速化と広視野赤外線カメラの完成、国立天文台石垣島1m 望遠鏡の可視3色同時カメラの設置、宇宙科学研究所1.3m望遠鏡の高速駆動化、可視・近赤外線の多色同時観測化等である。また、既存の岡山50cm可視3色同時撮像装置等を運用して、ガンマ線バーストの可視残光検出を行う。 (2) 興味深い残光が発見されれば、すばる望遠鏡による詳細な分光観測を早期に進め、そこから物理的性質を導きだすことを目指す。その為に観測装置に必要な機能強化を行う。具体的には、可視撮像分光観測装置(FOCAS)の赤側での感度の各段の向上を狙って新CCDを搭載したカメラとすること、近赤外線撮像分光観測装置(MOIRCS)用に低分散素子や高分散素子の高効率化をめざした開発を行い、これを装着することである。 この他、ガンマ線バーストの母銀河及びその関連銀河の研究、銀河間物質の物理等関連する研究も進める。
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