研究領域 | スピン流の創出と制御 |
研究課題/領域番号 |
19048004
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (00187981)
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研究分担者 |
三谷 誠司 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20250813)
水口 将輝 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (50397759)
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キーワード | 磁性 / スピンエレクトロニクス / ナノ材料 / スピン流 / スピン偏極 / ナノ構造 / ナノ粒子 / 磁気抵抗効果 |
研究概要 |
スピン流の創出と制御において、高偏極・高効率のスピン源の創製は最も重要な研究課題の一つであり、ナノ構造制御によって高偏極・高効率スピン源の創製ができれば、その意義は極めて大きい。本研究では、磁性ナノ粒子や磁性超薄膜のサイズ効果を利用して、高偏極・高効率のスピン源を作り出すことを狙っており、本年度はナノ粒子の成長と構造評価の実験や、ナノ粒子を介して流れる電流のスピン偏極度の理論計算などで成果を得た。 分子線エピタキシー法によるナノ粒子成長の実験では、蒸着量とナノ粒子系の関係が、Cr,Fe等と遷移金属とAu等の貴金属では大きく異なることを見いだした。基板との相互作用や融点が異なるために、初期成長とその後の粒子の合体のキネティクスに違いが生じていると推察される。ナノ粒子のサイズ効果が期待される1nm以下の粒径のナノ粒子を成長させるには、遷移金属の利用が有効であることが分かった。 ナノ粒子を介して流れる電流のスピン偏極度をスピン依存単一電子トンネル効果のオーソドックス理論を用いて計算した結果、ナノ粒子の帯電効果がナノ粒子中のスピン蓄積を約2倍程度まで増大させることが分かった。通常、印加電圧がスピン蓄積の上限を与えるが、帯電効果がこの上限を押し上げるために、このような増大が生じると理解される。帯電効果のスピン蓄積に及ぼす影響は、高偏極スピン源の創出に利用でき、さらにバイアス電圧やゲート電圧によるスピン偏極度の制御にも用いることができる。
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