スピン流の創出と制御の鍵となる高偏極・高効率スピン源の創製において、ナノ構造制御は有効な手段となる。本研究では、高偏極・高効率スピン源の創製を目的とし、以下の研究課題に取り組んでいる。 (1) 磁性ナノ粒子や磁性超薄膜を用いた最適ナノ構造を探索することにより、高効率スピン源の創製を行う。サイズ効果によって高効率にスピン流を取り出せることが理論予測されている磁性ナノ粒子や磁性超薄膜を用いて磁性ナノ構造を作製し、磁気伝導特性を評価することにより、ナノ構造の探索および最適化を行い、高効率スピン源の創製を行う。 (2) ハーフメタルホイスラー合金を用いた高効率スピン源の創製を行う。ホイスラー合金は、理論計算より完全スピン偏極した物質であり、半導体への高効率なスピン注入を行うためのスピン源としても期待されている。ホイスラー規則合金薄膜を用いたナノ構造体を作製し、磁気伝導特性を評価することにより、高効率スピン源の実現を目指す。 (3) 高効率なスピン注入を可能にする垂直磁化スピン源の創製を行う。垂直磁化スピン源は、無磁場下でも膜面垂直にスピン偏極したスピン流を注入できるという面内磁化スピン源には無い特徴を有している。本研究では、垂直磁化を示し且つ高効率にスピン注入が可能なスピン源の探索および創製を行う。
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