研究領域 | スピン流の創出と制御 |
研究課題/領域番号 |
19048006
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安藤 康夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60250726)
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研究分担者 |
大兼 幹彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50396454)
水上 成美 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (00339269)
永沼 博 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60434023)
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キーワード | トンネル接合 / Co_2MnSi / 強磁性共鳴 / ポンププローブ法 / スピンダイナミクス / スピン流 / スピン侵入長 / 磁気緩和 |
研究概要 |
1高品位薄膜およびトンネル接合の作製 ハーフメタルホイスラー合金を電極に用いた強磁性トンネル接合において、室温で高い磁気抵抗効果を得るために、Co_2MnSi/MgO界面にCo_2MnAl、CoFe、CoFeBの極薄膜を挿入し、界面電子状態の制御を試みた。これらのうち、0.5nmのCoFeを界面挿入した場合において、2Kで947%、室温で350%の磁気抵抗比を得た。磁気抵抗比の温度依存性はCoFeを界面挿入しない場合と比較して若干改善された。また、温度依存性改善の要因を調べるためにトンネル伝導特性を評価し、界面における非弾性散乱の減少が要因の一つであることを明らかにした。 2高スピン分極率,低磁気緩和定数ホイスラー薄膜のスピンダイナミクス 強磁性金属に対しパルスレーザー光を照射した際にサブピコ秒領域で発生する減磁現象について、ホイスラー合金を中心に調べた。Mn-Ga合金並びにCo系垂直磁化膜の超高速減磁時間τは励起レーザー強度Pに対し増大する傾向を示し、微視的な理論と傾向が一致した。他方、AgやCr下地上に積層したCo_2MnSiホイスラー合金のτはPに対し減少する傾向を示した。これらの結果は、Co_2MnSiの高いスピン分極率との相関を示唆する結果であり、今後、ハーフメタル性を考慮した微視的な理論を確立した上で、実験と詳細に比較していく必要がある。 3強磁性共鳴と磁気緩和 強磁性共鳴を用いて強磁性体F1からスピン流を生成し、Cu膜内を伝搬した後にもう一方の強磁性体F2内で緩和する過程を調べることにより、強磁性体F2の横スピン侵入長を測定した。F1としてMgO単結晶基板を用いたNi_<80>Fe_<20>エピタキシャル合金とした、Ni_<80>Fe_<20>/Cu/Co_<40>Fe_<40>B_<20>多層膜の構成において、Co_<40>Fe_<40>B_<20>の横スピン侵入長が12nm程度と見積もられ、多結晶で同じ構成の積層膜のそれ(3.2nm)と比較して増大した。以上の結果は、非磁性(N)/強磁性(F2)界面状態が侵入長に影響を及ぼしていることを示唆するものであると結論した。
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