研究領域 | スピン流の創出と制御 |
研究課題/領域番号 |
19048007
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大野 裕三 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (00282012)
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研究分担者 |
松倉 文礼 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (50261574)
大谷 啓太 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (40333893)
佐藤 茂雄 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10282013)
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キーワード | スピン流 / 半導体スピントロニクス / 量子コンピュータ / 核磁気共鳴 / 顕微分光 / スピンホール効果 |
研究概要 |
本研究では、半導体量子構造における光⇔スピン流変換を基礎とし、半導体デバイスの基本原理(電界制御,発光・受光)を駆使して核スピンの量子位相の制御・検出を光学的手法により実証することを目的とする。より具体的には、(1)光による核スピン制御・検出が可能となる半導体量子ナノ構造デバイスの設計と作製と、(2)核スピンの量子コヒーレンスを制御し、スピン流を介した光と核スピン間の相互作用の制御及び量子スピントロニクスデバイス基盤技術を確立することである。当初計画に上げた3項目について、得られた成果は以下の通りである。 (1)半導体量子ナノ構造デバイスの設計と作製 ゲート電圧により電子密度およびg因子を変調可能な半導体量子構造デバイスを設計・作製し、時間分解カー回転測定法を用いた磁気共鳴測定を行って核スピンとスピン流との相互作用制御の検証実験を行った。本年度は、核スピンのエネルギーおよび位相緩和時間と電子数、電子状態間の関係を調べ、電子が局在化することにより核スピンの位相緩和が強められる結果を得ている。現在、成果をまとめた論文投稿を準備している。 (2)高空間分解能時間分解顕微分光システムの整備 顕微カー測定システムを用い、n-GaAsにおけるスピンホール効果のドーピング濃度依存性および外部磁場依存性を調べ、システムの高感度・高空間分解能を実証した。また、ドーピング濃度が3×10^<16>〜5×10^<17>cm^<-3>のn-GaAsについてチャネル端のスピン蓄積を測定した結果、その大きさは濃度に対し単調に変化せず、1×10^<17>cm^<-3>で極大を示すことがわかった。 (3)量子情報操作に関する検討 スピン3/2を有するGaAs中の核スピンAs、Gaを量子ビットとする固体量子演算の実証に向けて、位相制御された高周波パルス磁場印加によるスピン制御の光学検出を実証した。現在、本成果について論文投稿中である。
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