研究概要 |
本研究課題「半導体量子構造における核スピンの光制御・検出」では,本申請者らが実証したコヒーレント核スピンダイナミクスの光検出(H.Sanada et al., Phys.Rev.Lett.2006)の成果を基礎に,III-V族化合物半導体GaAsをベースとする極微細半導体量子ナノ構造を作製し,スピン流を介した光と核スピン間の相互作用を最適化し,そのスピンの量子力学的状態に強く依存する光応答特性を実現してそのスピン状態の検出と制御を行うことを目標とし,(1)半導体量子構造において高い核スピン分極状態(初期状態)を実現するため,磁性/非磁性半導体ヘテロ構造の形成と動的核スピン分極の最適化を行う.また(2)半導体量子構造における電子・核スピンコヒーレンスのダイナミクスを調べ,スピン流の位相コヒーレンスの実時間・実空間観測を行う.さらに,(3)核磁気共鳴および電子スピン共鳴を利用して,核スピンとスピン流との間の相互作用を局所的に制御することにより,長い位相緩和時間を有する核スピン状態を実現するとともに,基本量子ゲートを実現する高周波・マイクロ波パルスシーケンスを構築し量子演算の実証実験を行う.これらにより,磁気共鳴技術を応用したスピンコヒーレンス制御によるビット操作の光制御・検出を実証する.
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