研究領域 | スピン流の創出と制御 |
研究課題/領域番号 |
19048008
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大野 裕三 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (00282012)
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研究分担者 |
宗片 比呂夫 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60270922)
安藤 康夫 東北大学, 工学研究科, 教授 (60250726)
永長 直人 東京大学, 工学系研究科, 教授 (60164406)
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キーワード | スピン流 / スピン・軌道相互作用 / 強磁性半導体 / 半導体量子構造 / 強磁性共鳴 / スピンホール効果 / 金属多層膜 / 半導体光物性 |
研究概要 |
本特定領域研究における「スピン流と光物性」班では、光と磁気(スピン)との相関によって生じるさまざまな物理現象を探求し、「スピン流」を基軸として整理・統合して理解するとともに、光によるスピン流制御を推し進めてデバイス応用可能な機能発現を目指しており、本調整班では、 (1)半導体量子構造における核スピンの光制御・検出 (2)強磁性半導体における光磁化の解明と制御 (3)金属多層膜系におけるスピン流と磁気緩和の光学的検出 (4)光・電子スピン結合の理論 の4つの課題について研究を実施するとともに、関連研究に関する動向調査を行い、研究方針策定や計画の立案を行う。以下に本年度の「スピン流と光物性」に関する成果を記す。 (1)スピン3/2を有するGaAs中の核スピンAs、Gaを量子ビットとする固体量子演算の実証に向けて、位相制御された高周波パルス磁場印加によるスピン制御の光学検出を実証した。 (2)強磁性半導体(Ga,Mn)Asにおいて光パルスで励起した後の複雑な磁化の歳差運動について解析を行い、磁気異方性の変化による有効磁界の変化を考慮したモデルで再現できることを示した。本成果についてアメリカ物理学会で発表を行った。 (3)強磁性共鳴を用いて磁化の方向に対する横成分が主であるスピン流を生成し、非磁性体内を伝搬した後にもう一方の強磁性内で緩和する過程を調べた。共鳴線幅の解析から強磁性体内の横スピン侵入長を見積もることに成功し、CoFeB、Co、CoFe、FeNiに対してそれぞれ12nm、1.7nm、2.5nm、3.7nmであることがわかった。 (4)励起子のスピンホール効果の理論を構築し、現実的な実験をアルカリハライド、および亜酸化銅につき提案した。歪みの場を制御することで、励起子発光の空間および偏光依存性でスピンホール効果の観測が可能であることを見出した。
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