計画研究
デバイス開発の分野では、磁性多層膜におけるスピン注入磁化反転や、細線における電流駆動磁壁移動など、試料に直接電流を流すことでナノサイズの磁化構造を操作する技術が実証され、実用化に向けたデバイス応用、機能向上が試みられている。この効果はスピン移行トルクと呼ばれ、これを利用した新しい磁気ランダムアクセスメモリなどが提案されている。スピン移行トルクは、試料に電気的な外場を与えたときのスピンの応答として理解できるが、最近この効果に関連し、スピン運動による電気的応答である「スピン起電力」と呼ばれる現象が提唱され注目を集めている。我々は、(1)スピン起電力の一般化、(2)任意の強磁性物質・材料形状におけるスピン起電力を求める数値計算のアルゴリズムの開発、(3)磁気ディスク中に形成される磁気渦のダイナミクスによるスピン起電力の計算、(4)磁気渦コアの分極の情報を電場によって読み出す新しいスピントロニクスデバイスの提案、を行った。スピン起電力の大きさは、磁化構造の空間・時間微分に比例することから、急峻な構造をもった磁化が早い運動をしている場合、より大きなスピン起電力が得られると考えられる。そのような磁化の運動が得られる例として、磁気渦の運動に注目した。磁気渦構造は磁気ナノディスクで得られ、これに振動磁場を印加することで磁気コアが回転運動することが実験的にも示されている。計算により、電場はコアの運動と垂直方向に現れ、誘起される電場はkV/mと非常に大きいことが明らかになった。また、コア分極方向の違いをスピン起電力によって読み取ることが可能であることを示し、新しいスピントロニクス素子の提案を行った。
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http://www.maekawa-lab.imr.tohoku.ac.jp/