研究概要 |
(1) InAs自己形成量子ドット中のスピン状態 2重障壁井戸中にInAs量子ドットを形成し,ピラー型に微細加工して垂直電気伝導を調べた.InAsドットに由来する多数の共鳴ピークを観測することができた.強磁場中の伝導を調べたところ,一部の共鳴ピークがスピンゼーマン効果で分裂することを確認した.これより,量子ドット中に局在スピンが形成されていることを確認し,さらにg因子の絶対値とその異方性を測定することができた.その結果,正孔系においても,電子系同様,量子閉じ込めによりスピン軌道相互作用の効果が弱められていることが明らかになった. (2) スピン軌道ベリー位相の実験的確認 GaAs/AlGaAs 2次元正孔系を使ってアンチドット格子系を作製し,磁気抵抗AB型振動を測定することで,スピン軌道相互作用によって生じるベリー位相の存在を確認した.同時に,スピン軌道相互作用によるバンド分裂が干渉効果に及ぼす影響も検出した. (3) GaAs量子ドット中のスピン状態制御 量子ドット内のクーロン相互作用を利用し,閉じこめポテンシャル形状を変化させて多電子状態間の遷移を起こしてスピン状態を制御することに成功した.
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