計画研究
「スピン流高周波デバイス」に関しては、平成22年度は基礎に戻り、交換結合糸の高周波励起をブリルアン散乱・高速光測定などで測定することを試みた。具体的には交換結合系の接合素子を作り電流印加を行うことによる光学モードの励起、さらには、高速レーザーパルスの印加による光学モードの励起に成功した。光学モードのブリルアン散乱による測定も試みたが結果が得られなかった。このことにより今後、ミリ波・THz至るスピン素子の実現の可能性が明らかになった。また、産総研・キヤノンアネルバとの共同研究によりトンネル磁気抵抗素子の発振線幅の温度依存性を詳細に調べた。その結果、発振時の線幅の温度依存性についての知見を得た。「スピン流熱デバイス」に関しては、温度勾配をつけた時にTMR素子に発生する電圧の測定を行ったが、寄生信号との分離が難しく明確な結論に至らなかった。一方、スピン流と熱との相関を理解するために、その物理現象を記述する基本方程式を構築し、特に拡散的なスピン流のエネルギー消費を明らかにした。また、熱によりトンネル磁気抵抗素子の高周波整流作用を増大できる条件を見出した。この確率共鳴現象は生物の触覚などに利用されていることで有名な現象である。トンネル磁気抵抗素子も100mn程度の超小型になると熱の影響を強く受けるようになり、通常は熱により信号が小さくなってしまう。ところが、垂直磁気異方性を持つ磁気抵抗効トンネル接合に斜め磁場を印加し磁化を不安定にすると、スピントルクダイオード効果が確率共鳴により増大することを示すことに成功した。
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