計画研究
我々は、スピントロニクスとシリコンテクノロジーとの融合を推進するため、シリコンベース素子を用いたスピン注入効率の最適化に焦点を絞り、(1)シリコンベース強磁性体の開発(2)強磁性体金属/シリコンヘテロ構造におけるスピン偏極電子注入の実証(3)スピン流を用いたシリコンベースデバイス機能の実証を目指して研究を行ってきた。平成22年度は(2)及び(3)に関して研究を行った。Si上のスピン源として平成21年度にスピン偏極度の評価を終えたγ'-Fe_4Nについては、X線磁気円二色性(XMCD)特性から磁気モーメントを算出した。γ'-Fe_4Nとの格子不整合率が0%のLAO(001)基板と、格子不整合率11%のMgO(001)基板上に、MBE法により、Au/(3nm)Fe_4N(10nm)/LAO(001)、Au(3nm)/Fe_4N(10nm)/MgO(001)をエピタキシャル成長した。磁気光学総和則の適用によりM_sを算出した結果、Fe原子当たり約2.45μ_Bとなった。成長基板の違いによる差が無いことから、Msの大きさは格子不整合率の大きさに依存しないといえる。また、この値はα-Feの2.2μ_Bに比べて十分に大きいことも明らかになった。また、平成21年度に動作実証を行ったFe_3Si/CaF_2ヘテロ接合からなる強磁性共鳴トンネルダイオード(FM-RTD)においては、その電流電圧特性に見られる微分負性抵抗(NDR)の再現性が悪いという問題があった。この問題を、直径200nmの限られた領域のみにFM-RTDを成長するLocal-Epitaxy法による低温MBE法で解決した。さらに、量子井戸の膜厚を系統的に変えた試料を作製し、NDRが現れる電圧が、量子井戸膜厚dの2乗に反比例するとの結果を得た。以上の結果から、得られたNDRは共鳴トンネルによるといえる。
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