研究領域 | 光―分子強結合反応場の創成 |
研究課題/領域番号 |
19049003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
村越 敬 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (40241301)
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研究分担者 |
木口 学 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70313020)
並河 英紀 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (30372262)
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キーワード | 表面増強場 / 表面プラズモン / 表面増強ラマン散乱 / 金属ナノ構造体 / ナノダイマー / 少数分子検出 / 局所電場勾配 / 光トラッピング |
研究概要 |
可視から近赤外の波長領域の光励起に応答性を有する二次元金属微小配列構造を構築し、さらに光化学的・電気化学的な金属の選択的析出・溶解反応制御に基づいた微小構造制御を行った。これにより得られた金属微小構造体近傍に局在化する増強電場を利用し、分子の吸着構造・励起状態に関する情報を取得した。 ビピリジンなどのモデル分子を用いて金属微小構造体近傍における表面増強ラマンスペクトルを測定し、スペクトルの散乱強度、ピーク波数、相対強度などついてストークス散乱とアンチストークス散乱領域にて検討を行った。その結果、電場強度や分子濃度に依存した吸着配向特性の変調が観測された。本結果は、異方性電場中における分子のラマンスペクトルを計算にてシミュレートした結果からも定性的に説明が可能であり、本実験により、ダイナミックな吸着配向変化の単一分子レベル検出に成功したと言える。 さらに、単層単一カーボンナノチューブに対する同様の実験を行った所、金属微小構造体近傍においてナノチューブの欠陥成分に帰属されるDバンドの強度が段階的に増加する現象を見出した。本現象は、局所的な電場増強場における化学反応性が増幅されたことを示唆するものである。 以上の様に、ターゲット分子の光散乱、温度(振動励起状態)、化学的反応性を単一分子レベルで制御し、位置選択的重合、酸化還元反応、置換反応の反応速度制御など光一分子強結合反応場の構成基本単位を構築するための基礎的な知見を得た。さらにそれら単位構造におけるイベントを二次元空間にて相互に相関を持たせることを試み、多色照射光への応答性を有する場を形成可能性が提案された。
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