研究領域 | 光―分子強結合反応場の創成 |
研究課題/領域番号 |
19049003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
村越 敬 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (40241301)
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研究分担者 |
保田 諭 北海道大学, 大学院・理学研究院, 講師 (90400639)
並河 英紀 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (30372262)
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キーワード | 表面増強場 / 表面プラズモン / 表面増強ラマン散乱 / 金属ナノ構造体 / ナノダイマー / 少数分子検出 / 局所電場勾配 / 光トラッピング |
研究概要 |
可視~近赤外領域の波長の光に応答性を有する金属微小配列構造体を二次元規則的に構築し、その近傍における少数分子の光化学的あるいは物理的な挙動を評価した。その解析に基づき、金属微小構造体近傍に局在化して形成する光増強電場の特性の理解を深め、光増強電場内における分子の特異的挙動発現メカニズムを検討した。 まず、単一単層カーボンナノチューブを用いて金属微小構造体近傍における表面増強ラマンスペクトルを測定し、スペクトルの散乱強度、ピーク波数、相対強度などついてRBMモード、Dバンド、Gバンド領域にて検討を行った。その結果、入射電場の偏向方位に応じた種々の変化が観測された。直線偏光においては、偏光方位に依存して各バンドの散乱強度が変調され、その角度依存性の解析により、この散乱強度変化は光増強電場の形成効率に対する入射電場方位依存性が反映されたものであることが明らかとなった。さらに、円偏光を用いた場合、その偏光方位によりDバンドとGバンドの強度比においても強い依存性が現れた。光増強電場に関する電磁気学的計算を行った結果、入射光の円偏光方位により光増強電場の形成位置がシフトすることが示唆され、そのシフト量はシングルナノメートルの分解能にて制御可能であることも明らかとなった。つまり、本研究にて観測されたDバンドとGバンドの強度比の円偏光方位依存性は、単一単層カーボンナノチューブにおいて数ナノメートル程度離れた異なる部位を検出していたことになる。従来の通常光を用いた場合では、光の解説限界により数百ナノメートル以下の空間分解能を持って分光することは原理的に不可能であったのに対し、本研究では光増強電場を用いることで光励起場を数ナノメートルに閉じ込め、さらに、その照射エリアを数ナノメートルの分解能にて制御することで、従来の分光法とは全く異なる新奇な高分解分光システムを構築することに成功した。
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