研究概要 |
本研究課題では、有機-金属ヘテロナノ界面における表面プラズモン(SP)励起反応の例証とその反応制御法の確立、新たなハイブリッドナノ構造体の創製を主たる研究目的とした。バルク金属あるいは金属ナノ粒子におけるSP共鳴場と光応答性分子またはその分子集団ある有機ナノ結晶との相互作用はまさに光-分子強結合反応場であるが、化学反応への適用例証はこれまで皆無であった。昨年度に構築した反応探索用基板を用いて、昨年度のSU-8の系に引き続き、本年度はDAモノマーの二光子固相重合の動力学について詳細に検討した。DAは、通常、紫外線照射によるトポケミカルな固相重合を示す。 (1)金蒸着基板上に2種類のDAモノマー(14,8-ADAおよびDCHD)をキャストし、顕微ラマン分光法(λ_<ex>=532nm)を用いて、ラマン励起光-固相重合過程の解明を行った。すなわち、ラマン強度およびそのラマンピークのシフト量の時間変化より固相重合速度定数を見積もり、その励起光強度依存性を解析した。その結果、いわゆる青相-赤相相転移を示すPoly(14,8-ADA)では、その入射光強度の指数依存性はほぼ2乗となり、二光子固相重合が進行したことが示唆された。 (2)一方、これに対して、Poly(DCHD)での指数依存性は極めて低く、ほぼゼロであった。固相重合過程で生じる臨界現象に近いモノマー単結晶-ポリマー単結晶相転移がその要因であると推定された。 これまでの研究成果から、SP励起固相重合反応の一般性と汎用性が示され、新規のナノ構造体創製プロセスとして、さらに期待される。
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