研究概要 |
光-分子強結合反応場の構築は、弱い光あるいは低エネルギーの光を用いた光化学反応の高効率化や新奇反応の開拓が可能となる。ボトムアップ法により創出される精緻なナノ粒子およびその超格子を用いることにより、プラズモン誘起光電場増強による二光子励起や光電子移動反応を利用した新奇光化学反応の開拓が可能になると期待される。本年度は、電荷密度制御により1600nm以上の近赤外領域で局在表面プラズモン共鳴波長を精密制御することができたITOナノ粒子の光電場増強度を検討するため、IR26色素の近赤外二光子励起効率(Pump:2,200nm、Probe:1,175nm)を近赤外過渡吸収スペクトルで検討したところ、ITOナノ粒子膜は約100倍の増強度を示すことが実証された。次に、プラズモン金属ナノ粒子一次元鎖におけるダークモードを介したプラズモン導波モードについて検討するため、一辺170nmの単結晶立方体Auナノ粒子3~9個を種々の粒子間距離で一次元配列させ、一端のナノ粒子をエバネッセント場で励起した。その結果、エバネッセント半波長と二粒子間距離が一致する一次元鎖でのみ、ダークモードを介したプラズモン導波モードが観察された。
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