計画研究
金属ナノ構造の局在表面プラズモン共鳴(LSPR)を利用した分子の光吸収・発光過程の制御および光反応の高効率化を目的に、ガラス基板上に固定化した金属ナノ粒子に色素や光異性化分子の薄膜を被覆した金属-分子複合ナノ構造の作製と、その吸収・発光や光反応の顕微分光計測を進めた。1. 分子の吸収・発光増強効果 : 金ナノ粒子固定化ガラス基板上に蛍光色素分子ペリレンジイミド化合物の真空蒸着薄膜を作製し、蛍光増強効果を単一粒子分光によって調べた。ナノ粒子近傍の薄膜からのエキシマ-発光強度がLSPRによって約25倍を増強されることを見出した。蛍光増強度の励起波長依存を調べることによって、増強メカニズムにおける光励起と発光遷移過程を区別して議論し、この系では発光の遷移確率の増大であること示すことを示した。2. フォトクロミック反応のLSPR効果 : 金あるいは銀ナノ粒子を固定化したガラス基板上に側鎖にジアリールエテン(DE)をもつポリマーを被覆した複合薄膜を作製し、DEのフォトクロミック反応に対するLSPR光電場増強効果を吸収分光により調べた。その結果、ナノ粒子近傍(10nmオーダー)におけるDEの可視光消色反応の速度が、金ナノ粒子(直径100nm)では最大約8倍、銀ナノ粒子(直径80nm)では約20倍、ナノ粒子がない場合に比べ大きくなることを実験的に示した。さらに、反応速度の増大率の励起波長依存性が、銀ではナノ粒子のLSPRバンドのスペクトル形状に類似するのに対し、金では全く異なることを明らかにした。すなわち、ナノ粒子近傍における光反応速度の変化がLSPRによる局所電場増強だけでは単純に説明できないことを明らかにした。3. 単一粒子分光解析 : 開発した顕微微光散乱分光装置を用いて、単一金ナノ粒子レベルでの粒子近傍のフォトクロミック反応の測定に成功し、サイズや形状に依存したLSPR増強効果をより詳細に評価、検討することが可能とした。
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