計画研究
基板表面に固定した金(銀)ナノ粒子表面に色素やフォトクロ化合物などの機能性分子会合体を10nm程度の厚さで被覆した複合薄膜を作製し、その吸収・発光特性や光反応の顕微分光計測を行った。ナノ粒子の局在プラズモン共鳴による蛍光増強およびフォトクロミック反応速度の増大を、単一粒子レベルで調べることに成功した。本年度は特に特定領域内の共同研究に重点を置き研究を進めた。一辺100-150nmの銀ナノキューブによる蛍光増強の実験から、蛍光スペクトル形状がナノキューブのプラズモン共鳴バンドに依存して変化することを初めて見出し、蛍光寿命が短くなることを示した。これらの結果は、局在プラズモン共鳴によって発光の遷移確率が増大することを強く示唆するものである。一方、ジアリールエテンのフォトクロミック反応が単一金ナノ粒子の局在プラズモン共鳴によって加速されることを実験的に明らかにし、ナノ粒子サイズや形状および粒子の会合によってその効果が大きく変化すること単一粒子分光によって明らかにした。また反応族度の増大が他のフォトクロミック分子についても観測されること、およびナノ粒子以外の金ナノ構造においても類似の現象が起きることを明らかにした。これらの成果は領域内の他の研究グループとの積極的な共同研究に負うところが大きい。さらにこうした知見は、本特定領域全体の目的である金属ナノ構造を反応場とする新しい光化学の開拓において、光反応に対する局在プラズモン共鳴の効果の機構を議論する上で重要なものである。
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