23年度は以下の成果があった。[1]金属ナノギャップ試料を用いて量子ドット、分子の捕捉実験を行うグループと共同で実験結果を解析し、共著論文として発表した。ギャップでの分子補足の可能性を通して光-分子強結合場を形成させる技術の可能性を示す成果である。[2]触媒反応における金属構造からの距離依存性について最適条件を示す興味深い結果が実験グループにより得られたが、プラズモン、分子、光の全てを自己無撞着に扱う理論手法によって良く再現できることが分かった。局在電場を化学反応に用いる際の最適条件を明らかにした成果である。[3]ナノギャップにあるカーボンナノチューブの単一分子ラマン分光を行う実験グループにより、通常の選択則では説明できない特異な信号が報告された。本グループでは分子の波動関数まで考慮に入れたギャップ-分子結合系の自己無撞着な計算により、実際に禁制遷移が起こっていることを明らかにした。単分子での禁制遷移がナノギャップで可能であることを始めて示した成果である。[4]ギャッププラズモンと量子ドット(分子)が適当な結合条件を満たしたときに金属を光励起しているにもかかわらず、金属での吸収が抑制されエネルギーがドットに集中する現象(超エネルギー凝集)を理論的に明らかにした。この現象は、補助系(今の場合は金属アンテナ)と結合したナノ構造における光学応答の新しい可能性を示しており、光-分子強結合場設計の自由度を拡張すると期待される
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