研究領域 | 配列ナノ空間を利用した新物質科学:ユビキタス元素戦略 |
研究課題/領域番号 |
19051003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
京谷 隆 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90153238)
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研究分担者 |
西原 洋知 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80400430)
折笠 広典 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90375163)
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キーワード | ナノ材料 / 太陽電池 / 燃料電池 / 電気化学特 |
研究概要 |
アルミニウム陽極酸化皮膜は配向性が高くサイズ制御の可能な一次元ナノ細孔を有しており、我々はこれを鋳型として剣山状のナノカーボン膜を調製し、それが燃料電池用電極として利用できることを既に示している。このような配列構造だけでなく、カーボンは異方性が高いので炭素網面の配向性や結晶性などのナノ構造も燃料電池性能に影響を与える可能性が高い。そこで本研究では表面ナノ構造が異なる剣山状カーボン膜を調製し、その基礎的な電極特性を調べた。剣山状ナノカーボン膜は陽極酸化皮膜の一次元ナノ細孔に炭素を導入し、皮膜を除去することで得られる。この方法でピッチ(多環芳香族炭化水素)を炭素前駆体としてナノカーボン膜を調製すると、個々の剣山の針を形成する炭素網面は針の長軸に対して垂直な方向に積層する。他方、CVD法で炭素をナノ細孔の壁面に薄く(厚さ数nm)堆積させると、炭素網面はカーボンナノチューブのように同心円状に配向する。このように異なる方法で炭素を堆積させることで、表面ナノ構造が異なる剣山状ナノカーボン膜を調製した。これらの膜を熱処理(1200℃)して導電性を向上させてから、その電極特性を調べた。 [Fe(CN)_6]^<3->/[Fe(CN)_6]^<4->の電気化学的酸化還元反応は電極評価の際にしばしば用いられる基礎的な反応である。本研究では剣山状ナノカーボンを電極として用いて、この反応のサイクリックボルタンメトリー測定を行った。いずれのナノカーボン膜を用いた場合でも、一対の明瞭な酸化還元ピークが観察された。このプロファイルを詳細に解析したところ、電気化学的な活性についてはピッチを前駆体として調製した炭素の方が高いことが分かった。ピッチを前駆体とした剣山の針の表面には炭素網面のエッジに相当する部分が多く、エッジ面の電気化学活性が高いことが示唆された。
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