研究領域 | 配列ナノ空間を利用した新物質科学:ユビキタス元素戦略 |
研究課題/領域番号 |
19051003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
京谷 隆 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90153238)
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研究分担者 |
西原 洋知 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80400430)
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キーワード | 炭素ナノ材料 / 配列空間 / 炭素分子構造 / XRDシミュレーション |
研究概要 |
Y型ゼオライトを鋳型として合成されるゼオライト鋳型炭素(ZTC)は均一な直径(1.2nm)のミクロ孔が規則正しく配列した構造を有し、かつ最大で約4000m^2/gもの比表面積をもつため、水素吸蔵材やキャパシタ電極としての利用が期待されている。我々は、ZTCの平均分子構造モデルを提案しているが、この平均モデルは、C_<36>H_9ユニットがY型ゼオライトの細孔構造に沿って規則正しく配向し連結した構造体である。本研究では、実際の試料におけるC_<36>H_9ユニットの配向性の有無を議論するため、平均モデルに加え、乱雑モデルのXRDシミュレーションパターンを実測値のパターンと比較した。 XRDの理論散乱強度は以下の手順で行った。まずDebyeの散乱強度式を用いて干渉性散乱項I_<coh>(s)を求めた。次にHajduの非干渉性散乱式にRulandの減衰関数を乗じることで非干渉性散乱項I_<inc>(s)を求めた。最終的に理論散乱強度は干渉性と非干渉性散乱項の和に偏光因子を乗じることにより求めた。 平均モデルの構造はcubicP4_132であり、多数のピークを示す。一方、乱雑モデルの構造は巨視的にはcubic Fd3mと言えるため、ゼオライトと同じ空間群となった。実測値は乱雑モデルに極めて近いため、C_<36>H_9ユニットが乱雑な方向性をもって連結した構造であることが示唆された。また、実際の構造も巨視的なcubic Fd3mであると考えられる。
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