研究領域 | 配列ナノ空間を利用した新物質科学:ユビキタス元素戦略 |
研究課題/領域番号 |
19051005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木村 薫 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30169924)
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研究分担者 |
曽我 公平 東京理科大学, 基礎工学部・材料工学科, 准教授 (50272399)
桐原 和大 産業技術総合研究所, 界面ナノアーキテクトニクス研究センター, 研究員 (70392610)
岡田 純平 東京大学, 工学系研究科, 助教 (90373282)
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キーワード | クラスター / 正20面体 / ボロン / 超伝導 / 蒸気拡散法 / 準結晶 / 化学結合 / 熱電材料 |
研究概要 |
本研究の目的は、これまで築いてきたユビキタス元素であるBとAlの正20面体クラスター固体の統一的描像をさらに進めつつ物質探索を行うことである。 具体的には、正20面体の対称性が非常に高いことから電子状態の縮重度が高くなり、フェルミ・エネルギーでの状態密度が高くなる可能性であり、これは超伝導にとって有利な状況で、超伝導転移温度Tcの高い超伝導体を探索する。本年度は、蒸気拡散法によるMgドープに用いる密封坩堝を石英からステンレスに替えることにより、β菱面体晶ボロンの単位胞当たりMg原子8個(電子16個)までのドープに成功した。電子8個で内因性アクセプター準位(IAL)は完全に埋められたが、IALの上に欠陥生成に起因する局在準位が生成した。フェルミ準位はこの局在準位に捕らえられてしまい、金属転移も超伝導転移も起こらなかった。 一方、このような複雑構造固体は、ナノスケール(クラスターベース)の複合材料と考えられ、単純構造固体では共存できない物性を併せ持つ可能性がある。単純構造固体では共存しない低い熱伝導率κ、高い電気伝導率σ、大きなゼーベック係数Sを併せ持ち、大きな熱電性能指数(Z=S^2σ/κ)を持つ可能性が予想され、新しい熱電変換材料を探索する。本年度は、新しく提案した設計指針(Weakly Bonded Rigid Heavy Clusters、WBRHC)により、AlPdRe準結晶中のクラスター間の結合を弱めるために、ReのFe置換およびAlのGa置換を行い、熱電性能の向上に成功した。
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