研究領域 | 配列ナノ空間を利用した新物質科学:ユビキタス元素戦略 |
研究課題/領域番号 |
19051010
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
萩原 政幸 大阪大学, 極限量子科学研究センター, 教授 (10221491)
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研究分担者 |
金道 浩一 東京大学, 物性研究所, 教授 (20205058)
加賀山 朋子 大阪大学, 極限量子科学研究センター, 准教授 (40274675)
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キーワード | ゼオライトLSX / カリウムクラスター / ソーダライト / ナトリウムクラスター / 強磁場磁化 / ESR / 反強磁性共鳴 |
研究概要 |
今年度は昨年度に引き続き、大阪大学の野末グループにて作られているゼオライト中にカリウムKクラスターをロードした試料に関して研究を行った。ゼオライトLSXのNaとKのクラスター比Na/Kを変えて作成したNa_xK_<12-x>Al_<12>Si_<12>O<48>のxを0から4まで変えてカリウム(K)を吸蔵した際、1ユニット当たりの平均K吸蔵数nが6〜9.5の範囲でxの値によって変化するフェリ磁性が発現する。東京大学物性研究所において様々なxに対してフェリ磁性の発現するnに対して温度1.3Kで約60Tまでの強磁場磁化測定を行い、磁化過程がnのみならずxによって大きく変化することが分かった。つまりスピンフロップ磁場や飽和磁場が顕著に変化することがわかった。これらの変化を系統的に調べるためにはもう少しxやnを変えた測定が必要であり、一連の磁化曲線が得られた後、磁化過程の起源を電子状態から解明することが今後の課題となる。電子状態の解明にはミクロな測定手段である電子スピン共鳴(ESR)が大変有用である。そこで大阪大学極限量子科学研究センターにおいてゼオライトの一種であるソーダライトSOD中にNa^<4+>クラスターを含む粉末試料でX-バンドESR測定を行った。この試料はおよそ48Kで反強磁性秩序を示すと予想されているが、実際X-バンドESR測定ではこの温度以下でシグナルの線幅が広くなり低磁場にテールを引く様子が観測された。この共鳴シグナルを容易面型異方性を有する反強磁性共鳴の共鳴モードを仮定した粉末シミュレーションで解析して異方性定数が磁場に換算して1-2Oeと大変小さなものであることがわかった。現在・より高い周波数での測定を試みており、すべての周波数で同じ異方性定数の反強磁性共鳴で説明できるか今後調べる予定である。
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