計画研究
大阪大学極限量子科学研究センターにおいて単層カーボンナノチューブ(SWCNT)中に酸素分子を封じ込めた試料の帯磁率の温度変化と1.4Kでの強磁場磁化測定を行った。SWCNT中の酸素分子はカーボンナノチューブの内径に応じて配列の仕方を変えることが分子動力学計算で予想されており、一次元的に配列した多くの場合反強磁性的な相互作用をすることが期待されている。今回内径が0.8nm程度のSWCNTと400torrの圧力の酸素を石英管の中に封じ込めた。酸素分子はスピン数1(S)の磁性分子でそれらが反強磁性的な相互作用をしながら一次元的に並ぶとS=1の一次元ハイゼンベルグ反強磁性体(1DHAF)、すなわちハルデン磁性体の形成が期待される。帯磁率の温度変化では低次元反強磁性体に特徴的なブロードな山を持ち、低温で零に向かう振る舞いが見られ、また、低温の磁化過程は10テスラまで磁化が出ずにそれ以上の磁場で磁化がほぼ直線的に立ち上がる振る舞いが見られた。これらの実験結果をS=1 1D HAFの計算結果と比較し良い一致を見ることができ、酸素分子によるハルデン磁性体の初めその観測に成功した。昨年度に引き続きゼオライトの一種であるソーダライトSOD中にK^<4+>と(Rbk_3)^<4+>のクラスターを含む粉末試料でのESR測定結果の解析を行った。現在論文投稿準備中であるが、内包するアルカリクラスターが大きくなるにつれて容易面型異方性から二軸、さらには一軸異方性へ向かって変化することと、常温での2より小さいg値と異なり、2より大きくなることがわかった。これらの結果はこれまでの理論では容易に説明できず面白い課題を提供しているものと思われる。Hg系銅酸化物超伝導体の転移温度の圧力依存性を測定し構造相転移との関連性を議論した。グラファイトの面間方向の電気抵抗をダイヤモンド相への転移直前の圧力まで精密に測定し電気伝導特性と結晶の二次元性の関連性を議論した。
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Journal of Physics : Conference Series
巻: 334 ページ: 012040-1-012040-5
10.1088/1742-6596/334/1/012040
Physical Review B
巻: 84 ページ: 184514-1-184514-7
10.1103/PhysRevB.84.184514
http://www.mag.cqst.osaka-u.ac.jp/index_j.html