研究概要 |
山中昭司(研究代表者) 1.ナトリウム含有シリコンクラスレート単結晶の高圧合成と構造評価 5GPa,800-1000℃の高温高圧条件下でNa含有シリコンクラスレート単結晶の合成に成功した。タイプI型はNa_8Si_<46>の定比組成で,格子定数も常圧で得られる試料と変わらないが,タイプII型は組成がNa_<29>Si_<136>で,常圧で得られる最もNa含有量の多いNa_<24>Si_<136>に比較してもNaが過剰であり,格子定数も大きい。構造解析から,余分なNa原子は,16面体ケージにNa-Na対として取り込まれることをを明らかにした。同じケージに2個の原子が取り込まれた最初のシリコンクラスレート化合物として注目できる。 2.SrAl_2Si_2の高圧合成 代表的なZintl相SrAl_2Si_2を13GPa,1000℃の高圧高温条件を用いて合成し,α-ThCr_2Si_2型構造の新規高圧相を得ることに成功した。これは,転移温度T_c=4.0Kの超伝導体となることを見出した。ハニカム層状構造の常圧相は超伝導を示さない。多形の結晶構造とバンド構造の比較,ドーピングの可能性などについて,引き続き研究を進めている。 高畠敏郎(連携研究者) 1.タイプVIIIのBa_8Ga_<16>Sn_<30>のp型とn型の単結晶をGaとSnのフラックス量を調節して育成した。キャリア密度を制御することで,無次元性能指数ZTを450K付近でp型では1.0,n型では0.9まで向上させた。 2.新規化合物K_<8+x>Ga_<16-x>(Ga,Sn)_<136>を初めて合成し,II型クラスレート構造をもつことを確認した。16面体中でのKゲストは非中心の4サイト間をラットリングしており,その為に熱伝導率が抑制されていることが判った。
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