研究領域 | 配列ナノ空間を利用した新物質科学:ユビキタス元素戦略 |
研究課題/領域番号 |
19051012
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
真庭 豊 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (70173937)
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研究分担者 |
松田 和之 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 助教 (60347268)
石井 広義 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90128562)
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キーワード | NMR / カーボンナノチューブ / ピーポッド / C12A7 / 無機エレクトライド |
研究概要 |
ありふれた元素からなる物質系においても、ナノスケールで構造を制御することにより、従来にない新奇な物性の発現が期待できる。本研究では、ナノ、あるいはサブナノメートルサイズの配列した空洞を有する物質系において、このような新規物性を探索すること、またその発現機構を明らかにすることが目的である。本年度は、東工大グループにより発見されたセメント超伝導体C12A7の電子状態のNMRによる研究、フラーレンピーポッドの電子状態の光電子分光実験による研究、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)内の水の誘電特性の研究において顕著な進展があった。 1. セメント超伝導体C12A7のMR : アルミ核のNMR実験を行い、C12A7セメント超伝導体が、サブナノメートルの空洞ケージ内の電子が作る、ケージ伝導バンドと呼ばれる伝導バンドが金属性を担うエクトライド超伝導体であることを明らかにした。 2. フラーレンピーポッドの光電子分光実験 : かご状炭素フラーレンを内包したSWCMの電子状態を光電子分光実験により調べた。フラーレンC_<70>の場合は、SWCNTとの間に電荷移動はみられなかったが、金属を内包したフラーレンDy@C_<82>においては, 電荷移動が生じることが明らかになり、金属内包フラーレンを内包したSWCNTが興味深い電子状態を有する物質であることが示された。 3. カーボンナノチューブ内の水の誘電特性 : SWCNT内の水は低温でアイスナノチューブと呼ばれる新規水の結晶(氷)を作る。本研究では、その誘電特性を計算機実験により調べ、アイスナノチューブが特異な分極ヒステリシスを示す、強(フェリ)あるいは反強誘電体であることを明らかにした。
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