研究概要 |
ケイ素、酸素は地殻を形成する最もありふれた元素(ユビキタス元素)であり、これらを原料とすることで低コスト、低環境負荷の材料合成が期待される。本研究課題では、Si-o-Si, Si-C, Si-O-C結合を介して精密に分子設計されたシリカ系新奇ナノ構造を探索し、それらを規則的に配列させることで、分子レベルの規則性を有する「閉じた」シリカ系メソ多孔体をボトムアップ的に構築することを目的としている。 1) かご型ケイ酸オリゴマーのシリル化による新規オリゴマーの設計 : かご型ケイ酸オリゴマーの各頂点にトリエトキシシリル基が結合した化合物を出発物質として、末端の24個のSi-OEt基を加水分解後、トリメチルクロロシランを用いて段階的にシリル化を行い、Si-O-Si結合の伸長・分岐によるSi原子40個からなるデンドリマーを合成した。シロキサン骨格のみからなるデンドリマーは分子レベルで構造が規定されており、結晶性固体として得られたことから、今後組織化へど展開することでナノ空間への応用が期待される。 2) 二次元ナノ空間の応用 : ホスト材料としてシリカ材料は、熱的・化学的に安定であり、240nm以上の光に対して高い透過性を有し、かつナノ細孔構造が、分子やイオンを規則的に導入可能なことから、光機能を精緻に制御したナノハイブリッド系を構築することができる。本研究では、シリカナノ空間として3次元制限空間を有するゼオライトや2次元制限空間を有する層状ケイ酸塩を用いて、有機分子の発光挙動とケイ酸構造との関係について検討した。層状ケイ酸塩オクトシリケートに有機分子を導入した試料は、470nmに青色発光ピークを示したのに対し、マガディアイトに導入した試料は、短波長の440nmに発光ピークを与えた。層状ケイ酸塩のシリケート骨格構造の違いが、導入した有機分子の発光スペクトルに影響することが示きれた。
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