ダイヤモンドにホウ素を多量にドープすることによって、金属-絶縁体転移を起こし超伝導が出現することが最近発見された。ダイヤモンドの強いフォノンと電子格子相互作用により超伝導が発現することが、光電子分光やX線非弾性散乱などの実験から明らかになってきた。このようなドラスティックな伝導現象は、ダイヤモンドのみならず、炭素化合物全般に応用可能であると予想される。我々は、ホウ素ドープダイヤモンドに加え、新たに、高濃度ホウ素ドープ・カーボンナノチューブ、ホウ素ドープ・グラファイトを合成し、制御された環境で金属-絶縁体転移を励起する。特に、配列ナノ空間を有するこれらの物質は、それに起因する独特のフォノンや電荷を有しており、このことより、絶縁体から金属へ、金属から超伝導へと劇的な物性の変化が期待される。これらの物性の制御と、詳細な電子状態の評価を行う。
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