研究領域 | フラストレーションが創る新しい物性 |
研究課題/領域番号 |
19052001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
有馬 孝尚 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90232066)
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研究分担者 |
野田 幸男 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80127274)
石原 純夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30292262)
梶本 亮一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (30391254)
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キーワード | 強相関電子系 / 磁気記録 / 磁性 / 低温物性 / 強誘電体物性 |
研究概要 |
[サイクロイド磁性と強誘電性]磁気強誘電性を有する典型物質ペロブスカイト型マンガン酸化物TbMn0_3において、サイクロイド型らせん磁気秩序のヘリシティと電気分極の方向が一対一で対応していることを明らかにした。サイクロイドに対する磁場効果を利用すれば、斜め方向に磁場を印加することで電気分極の90度フロップの際に正負いずれの方向に回転するかを制御できることに気づき、それを利用した電気分極の180度反転に成功した。また、円錐型磁気秩序が磁場中でサイクロイド的な磁気構造に変化するとの目論見からBa_2Mg_2Fe_<12>O_<22>の磁場中での電気分極を測定し、巨大な電気磁気効果を発見した。一方、RMn_2O_5(Rは希土類)では、サイクロイド機構が働いているかどうかについて不明である。R=Y,Er,Hoの系の整合相において精密な単結晶磁気構造解析を行い、bc面内でヘリシティの揃ったサイクロイド成分を有することを明らかにした。また、X線非弾性散乱によりTbMn0_3の電気分極方向のフォノン異常が全く見られないことを明らかにした。これは、サイクロイド磁気秩序がもたらす強誘電の特異性を表していると思われる。 [実験手法開発]中性子の磁気反射と誘電率や電気分極の測定を同時に行うシステムを立ち上げて、ErMn_20_5の詳細な温度相図を明らかにした。また、中性子の二次元検出器を用いて、短時間で単結晶の多くのブラッグ反射について強度を計測できるシステムのテストを始めた。これは、らせん磁気秩序など長周期磁気構造を短時間で解析できるシステム構築を目指すものである。 [理論研究]電子型強誘電体RFe_2O_4における電子構造を記述する理論模型を構築し、有限温度で強誘電相が安定化する機構、および、磁気秩序や磁場の印加により電気分極が大きく変化する機構を明らかにした。また、サイクロイド型とは異なるネジ型らせん磁気秩序が強誘電性を発現させる機構について提案した。
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