計画研究
代表者前川と分担者小山田は新奇な逐次相転移をするパイロクロア格子反強磁性体Cu2(OH)3ClについてNMRの磁場依存性やサイト依存性等の詳細な実験を行った。低温相はスピン波励起をもつ長距離秩序相であることを明らかにし、磁気構造を決定した。一方、中間相は静的状態と大きな揺動が共存する異常な相であることを見いだした。Ni2(OH)3Clについては新たな中間相を見いだした。これらについて特集論文に発表した。また量子スピン三角格子反強磁性EtMe3Sb[Pd(dmit)2]2について20mKまでのNMR実験により、スピン液体状態が実現し、1.0Kに新奇転移があることを発見し、さらに13Cサイト依存性や磁場依存性等の実験を行った。5f電子系XY三角格子UNi4Bでは、希釈冷凍機を用いたNMR実験により、近藤スクリーニング部分無秩序状態が実現していることを明らかにした。分担者太田はs=1/2カゴメ格子反強磁性体ZnxCu4-x(OH)6Cl2のx依存性について強磁場ESR測定を行った。またs=1/2カゴメ格子反強磁性体Cu3V2O7(OH)2・2H2O (Volborthite)とBaCu3V2O8(OH)2 (Vesigniete)について、基底状態がスピン液体状態であることを明らかにした。分担者菊池はCu2(AsO4)(OH)3・3H2Oがデルタ鎖フラストレートスピン系のモデル物質であることを見出し、各種測定によりその磁性を明らかにした。また三角格子反強磁性体HCrO2を合成して、微視的な測定と巨視的な測定で相反するフラストレーション効果に起因する特異な相転移現象を調べた。分担者松平はパイロクロア物質Dy2Ti2O7のカゴメアイス状態と液相-気相型相転移近傍における磁性が磁気モノポール描像により理解されることを明らかにした。またスピンアイス状態における磁化緩和時間の温度依存性を明らかにした。さらにNd2Ir2O7の金属-絶縁体転移が圧力によって抑制され、10GPa以上で磁気秩序相が出現することを見出した。
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