研究概要 |
本研究はスピンが規則格子上に位置しながらもスピン間相互作用が競合するために秩序化が抑制され、新しいタイプの相転移や新しい秩序状態が発現する幾何学的フラストレート磁性体について、新物質を探索・合成し、各種実験手段を用いて多重縮退が織りなす新しい秩序の解明とその選択的外部制御を目指すものである。モデル物質として、古典かごめ格子磁性体RFe_3(OH)_6(SO_4)_2、S=1/2 量子かごめ格子磁性体titmb、ダイヤモンド鎖磁性体Cu_3(CO_3)_2(OH)_2、イジング型かごめ磁性体である[H_2OC_4N_4]Co_3F_6(SO_4)_2、f電子系フラストレート化合物CePdAl、UNi_4B、スピンアイス物質Dy_2Ti_2O_7,Ho_2Ti_2O_7 Pr_2M_2O_7等のフラストレート磁性体を対象に、磁化、NMR、比熱、ESR、μSRなどの測定手段を用いて、実験的研究を行う。また、継続的に各種物質群、各種幾何学的フラストレート格子、各種スピン(古典、量子)を持つ新しい幾何学的フラストレート磁性体の探索、合成を行う。 新規購入の実験機器や既存装置の改良により、NMR装置の高精度化、試料回転や加圧等の新技術の導入により新しい物理量の測定を目指す。また試料合成装置と基礎物性測定装置を導入し、新規物質の探索と良質単結晶の合成のための設備の充実を行う。分担者間の協力により、試料の提供や各研究者の実験手段の有機的結合により、各種物質を多面的に研究する。特定研究というプロジェクトにより情報交換の機会を増やし、また班構成の組織化を行って効率的な研究を進める。
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