研究領域 | 機能元素のナノ材料科学 |
研究課題/領域番号 |
19053002
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 剛久 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20220478)
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研究分担者 |
枝川 圭一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20223654)
杉山 正和 東京大学, 工学系研究科, 准教授 (90323534)
瀧川 順庸 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (70382231)
大西 剛 独立行政法人物質・材料研究機構, 研究員 (80345230)
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キーワード | チタン酸ストロンチウム / PLD / 粒界 / 機能元素 / 転位 / 陽イオン不定比 / 構造ユニット / HRTEM |
研究概要 |
種々の材料における機能発現は、転位、粒界、界面などの格子不整合領域に偏析、集積したドーパント(機能元素)に依存する。この機能元素の役割を明らかにし、機能元素の理論予測に立脚した新規材料の創製を行っていくことを領域研究の目的としている。最終年度である本年度は、これまでに得られて研究結果の整理と総括を行うとともに、次の結果を得た。PLD法による複合酸化物薄膜形成における陽イオン比制御については、陽イオン比は照射レーザーのエネルギー密度に依存して変化すること、その変化に伴って薄膜の原子構造が大きく変化することを明らかにした。Sr過剰ではSrO層が形成され、Ti過剰側ではSr空孔が形成されるとともに、それらがクラスター化することを突き止めた。さらには、このような欠陥構造の変化は結晶成長温度にも依存することを明らかにした。これらの知見をもとに、陽イオン比レーザーフルーエンス依存性の精密制御法を確立させ、易動度、キャリア密度などの物性値との相関性を明らかにした。また、粒界原子構造の形成と陽イオン比変化については、STOをモデル材料としていくつかの粒界方位関係についてその詳細を調べた。その結果、整合性に非常に高いΣ3粒界においても熱処理条件に依存して粒界には陽イオン比が変化する独特の粒界構造ユニットが形成されることを突き止めた。これらの知見から、複合酸化物の薄膜並びに粒界、さらには界面には陽イオン比の不定比に起因した原子構造が現れ、その構造と陽イオン比の不定性が熱処理や熱処理雰囲気の影響を受けて複雑に変化し、その材料の物性を大きく変化させるものと考えられる。
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