研究概要 |
本研究課題では、大規模電子状態計算法、古典分子動力学法、粗視化粒子法、Phase-field法、FDTD法ならびに異なる計算手法のハイブリッド化技術を高度化・汎用化させ、さらにそれらをシームレスに統合することにより、ナノ領域に局在する機能元素がマクロ物性に及ぼす影響を定量的に予測する新たな計算材料科学パラダイム構築を目指す。 H22年度の実績概要 本年度までに本課題で開発を目標とした計算手法の基盤形成の多くを達成し、残るは、原子レベルと粗視化レベルとの整合化、さらにはPhase-Field法による熱力学時間発展を可能とする支配方程式への接合手法の開発である。個々のスケールにおける成果は下記の通り: ・ハイブリッド密度汎関数法/古典分子動力学計算手法の高度化により,酸化物セラミックス中の部分転位芯を含む大規模構造の電子状態解析が可能になり,領域内の実験グループによる電子顕微鏡観測データとの詳細な比較を行なった。 ・粗視化粒子法の多階層化・ハイブリッド化の手法を高度化することで、亀裂伝搬過程などの動的事象解析,加えて,これまでの単純なモデルシステムでの試験的適用から、グラフェンなどの実材料への適用性を示した。 ・Phase-field法の拡張・高度化を行い、新たに電磁界の方位成分を現象論的い取り入れる手法により、強誘電体の可逆的ドメインダイナミクスのPhase-field計算を行い、近年実験的に確認された熱処理によるチタン酸バリウムの誘電ヒステリシス制御の理論的再現に成功した。
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