計画研究
ナノチューブを含むナノカーボン系の電子物性の予言には、その幾何構造の精密予測が不可欠である。これまでの第一原理電子構造計算・全エネルギー計算に基づくカーボンナノチューブの構造最適化研究は、主に、ジグザグナノチューブに対して精力的になされてきた。これは、同系が、比較的大きなエネルギーギャップを持つチューブと、微小なギャップを持つチューブとに分類される、比較的「扱いやすい」系であるためである。そして、当研究室の研究を含めて、幾つかのグループによる報告があり、細いジグザグチューブでは、構造変化が電子状態にも大きな影響を及ぼすことが知られている。さらに、アームチェアナノチューブに関しても、前年度までに詳細な幾何構造・電子状態研究も遂行している。そこで、平成21年度分の研究では、いわゆるカイラルナノチューブにおいて、その螺旋度をも構造自由度と見た場合の構造最適化、さらには、電子物性の螺旋度依存性について、詳細に調べることに成功した。また、カーボンナノチューブで直径を大きくした極限と捉えられるグラフェン系において、以前、幾何構造を周期的に修飾することにより、金属的な電子構造を半導体に変えることができることを予言していたが、そのバンドギャップ値の修飾周期依存性を解明することに成功した。グラフェン系は2次元系であることから、これまでのシリコンウエハー等に対するデバイス加工プロセスと同様な加工のできる、新デバイス素材として着目されている。他方、金属的な電子輸送特性を持つため、効果的にバンドギャップを持つ半導体とする方法が模索されている。本研究成果は、半導体化の有力な方法を示した点で大きな意義がある。
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