研究概要 |
本研究は、金属内包フラーレンを内包したピーポッドの高温加熱により生成する金属ナノワイヤ内包のカーボンナノチューブ(CNT)、および直接昇華法により合成された金属ナノワイヤの電子デバイスへの応用を目指すものである。 金属ナノワイヤを内包した単層および2層力ーボンナノチューブ(CNT)を高効率で合成する方法を見出した。特に、ユーロピウム(Eu)金属ナノワイヤを内包したCNTでは、その内包率は90%以上にも達していて、世界の最高級のナノワイヤ・ナノチューブになっている。高分解能TEM観察によると、金属ナノワイヤ中の金属原子間の距離はバルク金属のそれより、10~15%程度も長いことが分かった。これは、内包金属原子がCNTとの相互作用により、プラスに帯電しているため、クーロン相互作用により原子距離が異常に長くなっていると思われる。また、これらの金属ナノワイヤ内包CNTの低温での磁化率はバルクの磁化率より20倍も大きいことを発見した。これは、まさに、今まで発見されなかった、ナノチューブ内部に存在する、超極細の金属ナノワイヤの特異な磁気物性に外ならない。 本研究はAngew. Chem.誌に掲載されるや否や、世界中の研究者の注目を集め、Nature Nanotechnology誌,Nature Asia Materials, Royal Society of Chemistry誌などで大きくその業績が紹介された。国内でもこの研究は注目を浴び、朝日、読売、毎日、日経、中日新聞など10誌を超える新聞に掲載され、広く一般の人々の注目も集めた。
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