研究領域 | カーボンナノチューブナノエレクトロニクス |
研究課題/領域番号 |
19054012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
片山 光浩 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70185817)
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研究分担者 |
桑原 裕司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00283721)
本多 信一 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90324821)
田畑 博史 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00462705)
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キーワード | カーボンナノチューブ / 表面・界面物性 / 吸着・脱離特性 / 走査トンネル分光 / 単層カーボンナノチューブ探針 / 状態密度 / 単層カーボンナノチューブ薄膜ガスセンサー / トンネル電流誘起発光分析 |
研究概要 |
本研究の目的は、修飾カーボンナノチューブ(CNT)のナノ電子物性、吸着物性、ナノ電気伝導特性などの計測をおこない、修飾CNTの表面・界面物性を多角的に評価することである。本年度は、単層CNT(SWNT)先端の状態密度計測、および触媒金属/保護膜修飾SWNTの吸着特性の評価をおこなった。また、トンネル電流誘起発光分析用超高真空・極低温走査トンネル顕微鏡(STM)システムを用いて、SWNTからの発光スペクトルを計測した。 前年度に開発した、金属探針先端に成長させたSWNTに対して金属基板を試料として走査トンネル分光(STS)計測する手法を用いて、SWNTが探針先端から突出した形状の探針を作製し、その状態密度を計測した。その結果、SWNT先端のキャップ部の五員環に起因する共鳴状態や局在状態を反映した状態密度スペクトルを捉えることに成功した。 次に、保護膜(SiO_2)が被膜されたSWNTにPd触媒微粒子を修飾し、SWNT薄膜ガスセンサーを用いて、H_2に対する吸着特性を調べた。その結果、保護膜を介してH_2を高感度で検知できることを見出し、それがPd表面でH_2が解離したH原子がPd/保護膜界面で電気二重層を形成することによる化学ゲート効果に由来することを突き止めた。さらに、H_2に対するセンサー応答の変動が保護膜によって抑制され、ガスセンサーの安定性が著しく向上することを見出した。 さらに、単一SWNTの発光特性計測に向けて、トンネル電流誘起発光分析用超高真空・極低温STMシステムを用いて、金属探針先端に成長させたSWNTについて、探針直下のトンネル電流により励起されたSWNTが失活する際に放出される微弱発光の発光スペクトルを計測した。その結果、SWNT固有の電子状態を反映した発光を確認し、それが非弾性トンネル過程の励起によることを実証した。
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