1. 研究計画の概要 本研究の目的は、核融合炉システムから作業環境および一般環境へのトリチウム漏洩を制御するための学術的基盤を構築し、ITERおよび原型炉における作業者の内部被曝の抑制および原型炉建設に対する社会的受容性の確保に資することである。トリチウムの漏洩経路としては、(1)運転時における高温配管中の透過、(2)システム開放時や炉外取出し時における材料からの放出・移行、などがある。いずれも材料の表面状態やバルク中の拡散挙動に敏感に依存する現象であり、これまでにも研究がなされてきたが、従来の実験の大部分は軽水素や重水素を用いた真空中でのものであり、トリチウムの内部被曝危険性を左右する放出化学形(元素状か水蒸気状か)や、それを支配する因子、β線の照射効果については明らかとなっていない。そこで本研究では、トリチウム移行を理解・制御する上で特に重要な、下記の研究を進める。 (1) 高温材料中のトリチウム透過抑制技術の開発 (2) 高濃度にトリチウム汚染された材料からのトリチウム放出・移行速度および化学形と、これらに及ぼす雰囲気の影響の定量的評価と放射線効果を含めた機構解明 (3) 材料の汚染防止技術および除染技術の開発
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