研究領域 | 核融合炉実現を目指したトリチウム研究の新展開 |
研究課題/領域番号 |
19055003
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上田 良夫 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30193816)
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研究分担者 |
日野 友明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30109491)
大野 哲靖 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60203890)
高木 郁二 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20206717)
仲野 友英 日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (50354593)
田辺 哲朗 九州大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00029331)
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キーワード | 核融合炉 / トリチウム / プラズマ壁相互作用 / 照射損傷 / ダスト / スパッタリング / 再堆積 / トリチウム除去 |
研究概要 |
(1) 重水素とヘリウム(2%)の混合イオンビームをタングステンに同時照射して水素の透過挙動を調べた結果、ヘリウムイオンの存在により、重水素の透過が抑制されることが明らかになった。この効果は特に低温(600K)で顕著であった。透過量の入射イオンフラックス依存性等より、表面への拡散がヘリウム照射により促進されていると考えられる結果を得た。また、炭素イオン入射が透過を促進していると見られる初期データを得た。 (2) 300keVの水素イオンにより照射損傷を与えたタングステン中の重水素蓄積について調べた結果、ITERの壁温度である200℃で、0,5dpaの損傷時にタングステン原子密度の0.5~1.0%の重水素が蓄積されることが分かり、他の重イオン照射損傷結果と良く対応することが分かった。また、ITERで予定されている350℃のベーキングで約90%の重水素が放出されることが分かった。 (3) 高密度ヘリウムプラズマをタングステンに照射して生じるナノ構造は、温度1000K~2000K、イオン入射エネルギー20eV以上で発生することが分かった。また、この構造はユニポーラーアークを誘発しやすく、タングステンの異常損耗やダスト発生を引き起こす可能性があることが明らかになった。 (4) JT-60Uにおいて、炭素壁中のトリチウム蓄積量分布を測定した結果、トリチウムは高エネルギートリチウムイオンの軌道損失により、壁に到達している成分が多く存在することが明らかになった。また、タングステン被覆層中の重水素蓄積は、内部に存在する炭素量と良い相関があることが分かった。 (5) タングステン壁中に注入された重水素は、ヘリウムイオン照射による効率的な脱離が可能であることが分かった。
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