核融合炉内のトリチウム蓄積量の評価法を確立するためには、実験研究を通じてのデータベースの蓄積と現象の解明、及び適切なモデリングとシミュレーション研究が密接に連携しながら研究を進めることが必要である。特にトリチウムの蓄積現象については、現在存在しないITERあるいは原型炉の評価を行う必要があり、モデリングやシミュレーション研究のさらなる発展とその結果の妥当性を評価するためのベンチマーク実験、あるいは核融合炉内複雑環境における新たな知見の付加が非常に重要になってくる。さらに、今年度は、ITERのダイバータ材料選択が緊急の課題となったため、その議論の場の提供も大きな目的となった。 本調整班の今年度の活動として、まず4月15日に徳島大学にて次炭素タングステン混合層の形成に関して、実験とシミュレーションの打ち合わせを行った。5月2日は、ITERのダイバータ材料選択への対応を議論するための会合を核融合フォーラムと合同で行った。7月16日には、NIFS研究会と合同で、シミュレーション研究と実験研究の連携について議論した。7月17日には、慶応大学でトカマク内のタングステンの輸送について、実験とシミュレーションの対応について議論した。12月25日-26日には、NIFS研究会や核融合フォーラムの物理と炉工学と協力し、ITERのプラズマ対向材料選択に関する議論を、物理的な視点と炉工学的な視点から行った。さらに、2月4日には、最近のシミュレーションと実験の成果について情報交換を行い研究の進捗状況について議論した。これらの会合における議論を通じて、炭素堆積層の研究や、トカマク装置炉内のタングステンの輸送など、いくつかのテーマについて、具体的な研究の進展を見た。
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