計画研究
核融合炉をとりまく固体ブランケット(Li_2TiO_3, Li_4_siO_4, Li_2ZrO_3, Li_2O等の酸化物)あるいは液体ブランケット(液体Li, Li_17Pb_83, Li_2BeF_4のLi溶融化合物)中のLiと、炉心で発生した中性子との間のn-Li反応により発生するトリチウムの動的移行挙動を実験と解析に基づき研究した。本年は、特定領域研究[核融合トリチウム]の初年度であり、基礎過程の解明に焦点を当てた。まず、上記固体ブランケット増殖材を原子炉中性子照射後、加熱昇温下でHeあるいはHeに水素や水蒸気を混入させた条件で放出曲線を実験的に求めるとともに、実験放出曲線をトリチウム吸着、吸収、水素一酸素反応、脱離のミクロ過程の速度式とトリチウムバランス式に基づいて解析し、良好な一致を得た。さらにパージガス成分や流量を変化させることにより、水-水素同位体交換がリチウム回収に有効に働くとともに、配管からのトリチウム透過漏洩防止に働くことを確認した。トリチウムと同時に発生する熱が固体ブランケット充填ペブル材でどのように移行するかを数値計算により解析した。以上の結果に基づき、現在日、欧、米、ロシアの他、中国、韓国、インドが参加しているITER-TBMの製作、実験に反映させる解析をおこなった。さらに、固体ブランケットHeパージガスからトリチウムを回収するのに現在は低温吸着法が考えられているが、ITER-TBMの先の商業炉に適用できるシステムとして、酸化物プロトン導電体を用いる方法について、装置を組み立て、原理的に回収可能であることを確かめた。成果は原子力学会で発表された。次に液体ブランケット材の研究では、固体と同様に原子炉内での中性子照射後のトリチウムを液体状態まで昇温し、ヘリウムパージガスへのトリチウム脱離速度と水素-トリチウム同位体交換速度を求め、トリチウム回収可能性について検討した。液体リチウムについては、通常の昇温ガスパージだけではトリチウム脱離回収は不可能なので、金属イットリウムへの吸収による回収可能性について世界で始めて実験的に実証した。固体と液体ブランケットにおけるトリチウム回収め成果は2007年度秋に米国Rochester市で開催された世界トリチウム国際会議等で発表された。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (15件) 備考 (1件)
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